皆さん、そもそも水はどういった役割だったのか。そんなことについて考えたことがおありでしょうか?
私たちが日々触れ、口にしている『水』はかつては神聖なものだったのです。
神道において水は清めの効果を持つものとされていて、「清めの水」として様々な場面で用いられていたのです。
現代でもその名残は色濃く残り、日本の風習として根付いていますね。
目次
滝行
例えば、「滝行」。経営者の方や芸能人の方が水に打たれている映像をご覧になったことがあるという方も多いのではないでしょうか。
「滝行」とは、滝に打たれたり冷水を浴びて身体のけがれを去り、清浄にするという行(ぎょう)ですね。『水垢離(みずごり)』とも言うそうです。
発祥の地は中国で、古代中国では水は神霊の象徴であると見なされていたのです。身体に水をかけることで人々は神の力にすがろうとしたのですね。
このような罪やけがれを洗い清める儀式を『みそぎ』といいますが、水で身体をキレイにするという意味になるでしょう。
現代では政治家がよく口にする都合の良い言葉として知られていますが、元来は信仰心あふれる神聖な言葉だったのですね。
「行」とはこころをスッキリさせるためにやるもの。滝行も水垢離も、心の中のいろいろなものを掃除できる行なのですね。
手水
そして、身近なところでは神社を参拝する際の『手水(てみず)』ですね。
神道において神社の敷地は聖域です。
かつては聖域を訪れる者は必ず神社の周辺に存在する河川や湧き水などで身を清めていたそうです。滝行とも通ずる、みそぎですね。
時代とともに湧き水や清流の確保が困難になったため、それに代わって身を清めるための施設として『手水舎(てみずしゃ/ちょうずや)』がつくられるようになったのです。
私は、毎月1日に神社を参拝していますが、みなさんは手水の手順・作法はご存知ですか?
ぜひこの機会に復習してみてください。
<手水の手順>
- 手水舎に軽く一礼
- 柄杓で水をすくう
- 左手を洗い清める
- 柄杓を左手に持ち替えて、右手を洗い清める
- 再度右手に持ち替えて、左手に水を溜めその水で口をすすぐ
- 左手で見えないように隠して水を出す
- 再度左手を洗い清める
- 柄杓を立てて、柄の部分に水を伝わせて柄杓の柄を洗う
- 手水舎に軽く一礼する
いかがでしたでしょうか。
私は、手水舎に軽く一礼することを怠っていたことに気づきました。次回からはまず一礼することを忘れず手水を行いたいと思います。
打ち水
最後に、『打ち水』の効果についても触れてまいりましょう。
『打ち水』の起源は江戸時代の茶道と言われているのです。茶室への道に打ち水をしておき、迎え入れるお客様へのおもてなしの心をあらわしていたようです。
元々は神道的な意味合いの清めの水を撒くという行為が転じて、打ち水に変わっていったのではないかとも言われています。従って家の玄関先への打ち水などは、来客に対しての心遣いの1つであるとされているのですね。
打ち水は、夏を快適に過ごす上での重要な生活の知恵の1つだったのですね。現代はアスファルトの道路。地面が高温になりますよなんて天気予報で伝えられるくらいの猛暑時は、打ち水によって大切な来客に少しでも暑さを和らげてもらおうとするおもてなしの心を発揮したいものですね。