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雨漏りを甘く見ない
天井や壁にシミができたり、横殴りの雨で窓のサッシのすき間から水が入ってきたりと、雨漏りは突然発生します。生活に支障がないからといって、雨漏りを放置してはいけません。雨漏りへの対策が遅れると、さらに大きな被害を招く恐れがあります。
まず、家や部屋が腐ってしまう可能性があります。木造建築はもちろん、マンションであっても天井や壁には木材が使われています。家屋内部の木が水を含むと、日差しが届かず、風も通らないため乾きが遅く、木材を腐らせる菌が増殖してしまいます。鉄筋や鉄骨にしても雨漏りによってサビつき、劣化して強度が落ちたり、コンクリートに亀裂が入ったりして、地震や火事など災害に弱くなります。
次に、木造住宅の場合は、シロアリが発生しやすくなります。シロアリは湿気を好み、木の根や木材を食べて繁殖します。そのため、雨にぬれて常に湿った状態の家屋は絶好の住み処になってしまうのです。
さらに、雨漏りによって家の中にカビや菌が発生しやすくなります。天井や壁はもちろん、天井裏や壁の内側、床下など見えないところに、気がつかないうちにびっしりと繁殖してしまうことも少なくありません。これでは大切な家の資産価値が大きく下がってしまいます。恐ろしいことにカビや菌は住む人の健康にも影響し、気管支ぜんそくやアレルギー、肺炎などを発症する場合もあります。小さなお子さんや高齢者など、体力や抵抗力が十分でない家族には特に注意が必要です。雨漏りに気づいたら、直ちに漏水調査を依頼して対処することが大切です。
雨漏りが発生しやすい場所
雨漏りの原因は屋根や天井だけではありません。原因として考えられる場所はいくつかありますが、垂直面と水平面を意識して、両方を調べることが必要です。垂直面とは壁やサッシなど家や建物が地面に垂直に面しているところです。水平面とは屋根や屋上、ベランダなど地面と水平に面している部分です。
垂直面で雨漏りする箇所として多いのは、サッシまわり、次いで外壁のひび割れ、そして外壁材の間にある目地の部分です。サッシからの雨漏りは、コーキングが原因の場合が多くなっています。コーキングとは、建物の窓枠とはめ込まれたサッシとのすき間を埋めるためのゴム素材ですが、これが劣化して雨漏りの原因となります。外壁は紫外線や雨の影響で年々劣化し、亀裂やすき間ができます。
水平面で雨漏りが多いのは、まず屋上、次いでベランダ、そして排水口まわりです。屋上やベランダは通常、ウレタンを塗ったり、防水シートを貼ったりして雨を防ぎます。しかし紫外線や雨、風の影響でウレタンが剥がれたり、シートの角にすき間ができたりして雨が浸入します。排水口は定期的な掃除を怠ると落ち葉やゴミが詰まるなどして、雨水があふれて漏水が発生します。
木造一戸建てであれば、場所によっては個人で雨漏り箇所を特定することも可能です。ただしマンションなど大きな建物は、原因が複雑で特定が困難です。可能性のある場所を一つずつ見ていくことが必要で、漏水調査も大掛かりになります。建物の劣化の状況によっては、複数箇所から漏れていることもあるので、専門業者に依頼するのが無難でしょう。
漏水調査の方法
専門業者が行う漏水調査では、まず住民から聞き取りを行い、最適な調査方法を選びつつ調べていきます。調査方法には散水調査や赤外線調査などいろいろな方法があります。散水調査は、屋根や外壁、サッシ部分に実際に水をかけ、雨を再現して雨漏り箇所を見つけます。赤外線調査は、サーモグラフィー調査ともいわれ、サーモグラフィーカメラを用いて建物を撮影するものです。サーモグラフィーカメラは建物の表面温度の差を、色で視覚的に映し出します。雨水の浸入によって低温化している箇所や防水シート内のすき間、外壁の目地で水がたまっているところなど、雨水の浸入部分を温度差によって明らかにすることが可能です。
また、外壁調査の一つである外壁全面打診調査も漏水を見つける手掛かりになることがあります。外壁全面打診調査は足場を組んだり、屋上からゴンドラをつったりしたうえで、作業員がテストハンマーや打診棒で外壁をくまなくたたいて、打撃音の異常によって亀裂やすき間、タイルの浮きの有無などを調査するものです。建物と建物の間が狭く足場を組めない、ゴンドラをつることができない場合はロープブランコ調査といって、屋上からロープを垂らし、それを人が伝って降りて外壁打診調査を行います。この方法はピンポイントで疑わしい場所を調べたいときにも便利です。
漏水調査は、調査だけを行う会社と調査と修繕の両方を行うところがありますが、調査会社と修繕会社が異なると、両社の連携がスムーズでないことがあります。さらに、屋根と外壁とでは修繕の方法が異なるので、両方に精通している業者であれば、修繕がスムーズに運びます。漏水調査を依頼する場合は、修繕工事まで見据えたうえで会社を選ぶとよいでしょう。
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